多様性が認められない時代から現在に至るまで「33年間ずっと、“いまの時代の作品だ”とみんなが思った」
1993年に書かれた戯曲『トランス』は、33年に渡って国内外問わずさまざまな演劇団体が数え切れないほど上演しており、鴻上自身による演出はロンドン公演から19年ぶり、国内公演としては21年ぶりとなる。
「でもね、(背景を)知らないで見たら、絶対に書き下ろしの新作だと思うはずです。それくらい、いまの時代にハマりすぎている。じゃあ、初演のときが先取りだったかというと、たぶんそうじゃないんですよ。33年間ずっと、“いまの時代の作品だ”とみんなが思ったに違いないんです」
いつの時代にも寄り添い、異議を唱え、生きる支えとなる作品なのだと、風間は身を乗り出して語る。
「ぼくはいつも、“自分の演じるキャラクターが作品の中でどういう感じで動いたら、この物語の大切な部分が伝わるのかな”という客観性から役と向き合っていくのですが、『トランス』に関しては、そのやり方が通用しないというか……。まずは、自分と向き合うという作業から入る必要があると思っています」