料理も、大事なコミュニケーション

『息子が生まれた日から、雨の日が好きになった。』の中には、幡野さんの料理がたびたび登場する。タケノコのアク抜きの話や、羽釜でごはんを炊いた話、そういった料理を通じた、奥さんとお子さんとのなにげないやり取りが記されているのだ。

「料理も、大事なコミュニケーションだと思っています。

 最近は、弁当作りにはまっていますね。ちょうどいまは夏休みで、息子にお弁当を持たせる機会があって、僕と妻で1日交代でお弁当を作っているんですよ。それが本当に楽しくて。子どもって、お弁当が全部食べられないのを負い目に感じることがあるので、作る側も、どうやって気持ちよく食べてもらえるか工夫する必要があるんです。すごくたのしいですよ」

 育児の中にも喜びを見出している、幡野さん。最後に、これからの育児で、どんな「THE CHANGE」をしたいか聞いてみた。

「ありません。もう、“チェンジ”はこりごりです(笑)

 息子が生まれたという最高のチェンジがあったので、あとは、今の生活に、よいことをどんどん上乗せしていくだけですね。育児でこれを始めてみようとか、僕自身も新しい趣味を始めてみようとか。そればかりを考えています」

幡野広志 はたの·ひろし
1983年生まれ。2004年、日本写真芸術専門学校中退。2010年から広告写真家の高崎勉氏に師事し、2011年に独立。2016年に長男が誕生。2017年に多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。著書に『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』、『息子が生まれた日から、雨の日が好きになった。』(以上ポプラ社)、『だいたい人間関係で悩まされる』(幻冬舎)、『ラブレター』(ネコノス)などがある。

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