究極のゴールは「隅っこで小説を書いているじいさん」

 大きな夢を語る藤澤さん。しかし、彼個人の「究極のゴール」を尋ねると、少し照れくさそうに笑いながら、意外な答えが返ってきた。

「今はまだ、チームのクリエイティブの核として自分が必要だと思っています。でも時間がたつにつれ、メンバーの中にも特別な発想力を持った人が一人、また一人と育ってきているんです。いずれ彼らにプロジェクトを任せられるようになったら……第四境界をみんなに託して、僕はその隅っこで、一人で小説を書いているじいさんになりたいですね。それが僕の究極のゴールです」

 最新テクノロジーとゲームの知見を駆使して、世界の最前線を切り拓きながらも、その心の奥底には、20歳の頃から変わらない「活字と物語への愛」が静かに燃え続けている。画面の向こうから現実へ、そして世界へ。藤澤仁と第四境界が仕掛ける“日常の侵蝕”は、まだ始まったばかりだ。

『人の財布~高畑朋子の場合~』定価/1,430円(税込) 発行元/双葉社 http://www.futabasha.co.jp