国民的RPG『ドラゴンクエスト』シリーズのディレクターとして王道ファンタジーの最前線を走ってきた藤澤仁さん。彼がいま総監督として率いるクリエイター集団「第四境界」は、現実と虚構の境界を揺さぶる「日常侵蝕ゲーム」で世間を熱狂させている。
その最新作となるのが、現在発売中のミステリー小説『人の財布〜高畑朋子の場合〜』(双葉社)だ。フリマアプリで誰かの使い古した財布を購入するところから始まる本作は、本に挟み込まれたアイテムを使い、登場人物と実際にメールを交わすことで、読者自身が“当事者”として物語に巻き込まれていく、かつてない「読むARG(代替現実ゲーム)」となっている。
誰もが羨むディレクターの座という絶対的な安定を手放す――。その人生最大の転機、THE CHANGEを経て、藤澤さんは何を手放し、何をつかもうとしているのか。稀代のストーリーテラーが語る、創作の原点とエンターテインメントの未来に迫るロングインタビュー!(第5回/全5回)。
フィクションの世界と現実の世界を隔てる壁、「第四の壁」を超えることを目指して名付けられた「第四境界」。彼らの作るARGは今や、国内外から熱い視線を浴びている。
「第四境界には、仮想世界と現実世界の両方の側面があります。仮想世界のほうには、物語が現実か仮想かを仕分ける『織工(しょっこう)』という職員が存在し、AMGY(アンジー)やRAY(レイ)といったキャラクターたちが活動しています。これから世界観が膨らむにつれて、さらにキャラクターも増えていく予定です」