『科捜研の女』(テレビ朝日系)の土門薫役や、『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)の大岩純一役など、長年にわたり多数の刑事ドラマ・サスペンスを牽引し、「連ドラの鉄人」とも呼ばれる俳優・内藤剛志(69)。近年、長寿シリーズが次々と大きな区切りを迎える中、彼が役を引き受ける際に貫く「正義の味方」としての美学と、大森一樹監督の遺志を継ぐ最新映画への熱い思いを聞いた。名優・内藤剛志のTHE CHANGEとは――。【第2回/全2回】
「家族を守るために人を殺す役はやらない」視聴者の期待を裏切らない美学
だけど、逆のことも言えるんです。俺は『科捜研の女』シリーズの土門薫を「自分ではない誰か」としてゼロから作るんじゃなくて、「俺が土門ならどうするか」で考えます。
誰かに詰め寄って何かを言うシーンがあるとしたら、俺だったらどう言うか。もちろん、そのシチュエーションを与えてくれるのは脚本家であり、プロデューサー、監督ですが、それを俺がやるならという想像力で動かしています。だから土門は全部、俺なんですよ。
それから、いまの俺のイメージの、刑事もの、正義の味方といったものが定着したのは、ただ偶然じゃなくて、意図的な選択の結果でもあるんです。
たとえば自分の家族を守るために人を殺すとか、そういった役は、一切やっていません。それは意識的な判断で、刑事ものを見てくれているお客さんは、俺にそういう役を求めていない。喜ばないと思ったので。見てくれている人の期待を損なうようなことは、なるべくしたくないなと思ってきたんです。
そういう判断も含めて、俺の仕事への向き合い方はシンプル。受けたなら、100点でなくてもいい。極論0.1でもいいんです。それだって、受けなかったら、ゼロなわけですから。やったなら、絶対にプラスはある。そう思って動きます。やらないとゼロでしょう。そういうことなんですよ、仕事というのは。