「刑事」の看板を下ろし、次へ。大森一樹監督の遺志を継ぐ映画『幕末ヒポクラテスたち』

 そういう意味で言えば、「刑事の俺」が認知されて、多くの人に届いたのは……まあ、俺の才能でしょうかね(笑)。冗談でもありますが、でも、うまくいったってことじゃないでしょうか。

 そうやって自分の俳優人生の中で、刑事としてのタームを考えてきた面もあります。でも同時に、これは自分で決めることでもないんです。これからも刑事が続くのであれば、そうしますけど、長いシリーズも終わりを迎えましたし、今まさに持ち歩いている台本には刑事は1本もありません。

 時代劇の『鬼平犯科帳 兇剣』でやったのは、鬼平を可愛がる、昔から知ってる“おじちゃん”。『浮浪雲』では入墨のある元罪人をやりました。これから取り組む『勿忘草の咲く町で』は医療ものの人間ドラマです。それはそれで、楽しみにしているところです。

 『浮浪雲』で仕事をした佐々木蔵之介とは、現在公開中の『幕末ヒポクラテスたち』でも一緒に芝居しました。医療時代劇で、大森さんが遺した企画なんですよ。

 俺はデビュー作『ヒポクラテスたち』の「続編だ」と思いました。時代は違うけれど、やろうとしていることや「命とはなんだ」ということを問うている。その命に一番近い現場で、救うとか救わないとかやっているのが医者だとしたら、そもそも「医者って何なの」と。やっぱり考え続けるんだなと。「考え続けようぜ」ということなんだと、脚本を読んでいて受け取りましたね。

内藤剛志(ないとう・たかし)
1955年5月27日生まれ。大阪府出身。1980年に映画『ヒポクラテスたち』でデビュー。以降、長年にわたり多数の刑事ドラマ・サスペンスを牽引。27クール連続ドラマ出演という記録を持つ「連ドラの鉄人」としても知られる。主演作に『警視庁・捜査一課長』シリーズ(大岩純一役)や『科捜研の女』シリーズ(土門薫役)などがある。公開待機作として、『旅人検視官 道場修作』(6月12日公開)が控える。

■作品情報
映画『幕末ヒポクラテスたち』
監督/緒方明 製作総指揮/大森一樹
出演:佐々木蔵之介 藤原季節 藤野涼子 室井滋(ナレーション) 真木よう子 柄本明/内藤剛志
新宿ピカデリーほか全国公開中
公式サイト:https://gaga.ne.jp/bakuhippo_movie/
©『幕末ヒポクラテスたち』製作委員会