今年で結成50周年を迎えるレジェンドバンドTHE ALFEE。楽曲の作詞・作曲を手掛け、バンドのリーダーを務めるのが高見沢俊彦(69)だ。
 現在はコンサートツアーで全国を回りながら、小説家としても執筆を行う。
 長年、第一線で活躍する高見沢の「THE CHANGE」、人生のターニングポイントとは何だったのか。変化を経て進化し続ける現在とは――。

撮影/三浦龍司

 高校時代は友人らとロックバンドを組む傍ら、実は文学青年でもあった高見沢。知的好奇心旺盛で、「ちょっと面倒くさい少年」だったと振り返る。

 

「高校生のときに、“実存主義”というのが流行ったんですが、それにはまっちゃって。

 通っていた明治学院高校はミッションスクールで、聖書の時間や神について学ぶ時間もあるんです。一方で、哲学者のニーチェは“神は死んだ”と言っている。“何だ、それは!?”と思いましたね。そうした中で、色々な小説を読むようになりました。

 なかでもカミュの『異邦人』。これを読んだときに、ガーンと衝撃を受けましたね。青年ムルソーが殺人を犯すんですが、判事に動機を聞かれると、“太陽が眩しかったから”と言うわけです。“自分はやってないんだ”と言えば、無罪放免だったのに。

 そうした不条理というものが、高校生の自分にすごく刺さって。そもそも、当時は不条理なんて言葉すら、聞いたことが無かったですからね。その衝撃は鮮明に覚えています。

 そこから、“実存”というのは何だろうと考え始めました。高校生の自分は、大人でもなく子どもでもなく、何者でもない中途半端な人間。そんな自分の存在とはいったい何なのか。神を否定しなければ、自分が存在しないとは、どういうことなのか。哲学の世界の話になりますけど、そうしたことを考えるのが何やら面白くなっちゃって……。

 だからか、放課後は図書室に入り浸って、哲学の本やキリスト関係の本を読んだりしていましたね。キリスト教自体も知らない世界でしたので、新鮮だったんですよね。それに、学べば学ぶほど、疑問点も出てくるじゃないですか」