人間のことをこんなに嫌いになるのはイヤだな
新井「もう明るいものが描きたいなと。人間のことをこんなに嫌いになるのはイヤだな、好きになりたいなと思ったんです。そんなときに自分に寄ってきたのがこの話で。“これは偶然じゃなく、必然だったんだ”と、自分を騙す能力だけは自分にはあるんだろうなと思いましたね」
テーマは“切実と滑稽”。新人女王様のふたりに降りかかる、痛々しくも笑ってしまうようなエピソードの数々は、鏡さんの話をヒントにしているという。
新井「この漫画は参謀がいるってことで成立してるんで、SMに関しては俺は素人ですよ。で、ここでお話しして掲載できるのかわからないし、漫画でも実際の話をソフトに描いているんだけど……。たとえば、漫画にも描いている、末期がんのM男さんに対して女王様が言った“おまえの余命は私が決める”というセリフ、あれはゆみこさんが本当に末期がんのM男さんに言ったセリフ。周りの若い女王様が泣いていたそうです。
同じシーンで、女王様が彼の頭を踏みつけて、泣いちゃって足が上げられないという描写があるけど、それは龍崎さんのエピソードなんですよね。これはかっこよすぎるなと」