自分は芝居ができない

 これまで数々の名作に出演し、俳優としての実績は言うまでもないと思われる真木さんだが、意外な思いを吐露してくれた。

真木「私って、自分は芝居ができないと思っていて。自分の感情が手伝って、本当にそのキャラクターの気持ちになってカメラの前に立つ、というタイプなんです」

 キャラクターになりきるという真木さんの目に『アンダーカレント』の主人公・かなえはどのように写ったのだろうか?

真木「かなえちゃんは、髪がずっと短くて。そこにはなにか過去があるのだろうし。でも、彼女は普通に笑ったりもするから、その過去を乗り越えて生きているのかなって思ったりもするんだけど、実は、根本にまだ過去を引きずっている部分があって。笑ってはいるけど、心から幸せなわけではなくて、そういう風になにかを抱えて生きていくのはとても辛いだろうなって。

 なので、かなえちゃんというキャラクターに寄り添うのは、けっこう苦しい作業でした」

「役に寄り添うのは苦しい作業だった」と語った真木よう子さん

 その一方で、新たに見えたこともあったという。

真木「この『アンダーカレント』には“人をわかるって、どういうことですか”、そして“本当のことなんか誰も知りたくない”という、人間関係についての重要な言葉が出てきますよね。なので、かなえちゃんを通じて、私自身も人間関係を見つめなおすことができました」