完璧な人なんていないだろうし、誰しもが“欠落”した人間だと思います
そうした人物を石井監督はオダギリさんに託した。これまでに『舟を編む』『おかしの家』『茜色に焼かれる』『アジアの天使』と組んできたふたり。石井監督は「オダギリさんは、僕の人生にとってとても大切な存在なんです」とコメントしているのだが、オダギリさんも石井監督に「シンパシーを抱いている」と明かす。それも「“欠落”している部分に共通点を感じる」と。
「完璧な人なんていないだろうし、誰しもが“欠落”した人間だと思いますが、それをひっくるめた感性の部分が、石井さんとは似通っていると感じるんです。口で言い表すのは難しいんですけど、何かを感じたり捉えたりといった感性が近いんです」
石井監督は、さらに「オダギリさんが凄いのは、あれだけ変わった人なのに(笑)、一方でものすごく真っ当な感覚を持った方」ともコメントしている。確かにオダギリさんはミステリアスな印象を保ったまま、それでいて、日常から地続きな面もきちんと感じさせる。その両面が伝わってくる。
「ミステリアスですか? 自分ではミステリアスでいようとしているわけではないので、そこは分からないですけど(笑)」
とはいえ、やはりオダギリさんが日常の街でいるところは想像できない。
「そんなことないですよ。宮沢さんだって、普通に街を歩いてるそうですよ。友達が見て驚いてました。帽子もかぶらずに歩いてる宮沢りえさんを。
そういえば、本編に洋子と昌平が回転寿司に行くシーンが出てくるんですけど、石井監督から“回転寿司とか行ったことないでしょ”って言われたんです。いやいや、ぜんぜん行きますよ。普通に生活していますよ(笑)」