ここまで色々考えさせられる作品にはなかなか出会えません
盟友と言える石井監督とオダギリさんの関係だが、「今回、この役で石井さんにオファーしてもらったのは意外でした」との予想外の言葉が出てきた。
「今までは、一見チャランポランな役とか、自由度の高い役を求められることが多かったと思うんです。物語をかき回す役と言えばいいのか。でも今回は、今までとは全く別の要素を求められる役柄で、実はオファーは意外でしたし、すごく嬉しかったんです」
今までとは違うイメージの役柄で声をかけてもらったことが嬉しかったのだろうか。
「その嬉しさより、石井さんにとって、大きな挑戦になるだろう作品に呼んでくれたことが嬉しいんです。大変な挑戦ですよね。そして、そこに向かうのはやっぱり石井さんらしいなと思います。
世の中にはいろんな映画があります。軽い気持ちで観られるものも、泣けるものも。それはそれで良いと思います。ただ、ここまで色々考えさせられる作品にはなかなか出会えません。それだけ深く突き刺さる、一生残る作品だと思います。ぜひみなさんにも、そういう経験をしてもらいたいです」
オダギリさんたちの挑戦を目撃するには、正直こちらも勇気がいる。答えは出ない。だが、蓋をしてきた現実に目を向けた重要な作品であることは間違いない。
オダギリジョー(おだぎりじょー)
1976年2月16日生まれ。アカルイミライ』で映画初主演。以降、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)、『ゆれる』(06)、『悲夢』(09)、『宵闇真珠』(17)など作家性を重視した作品に出演し、国内外の映画人からの信頼も厚い。19年、『ある船頭の話』で長編映画初監督。第76回ヴェネツィア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門に日本映画史上初めて選出され、同年『サタデー・フィクション』(日本公開は11月3日)がコンペティション部門に出品。待機作に「僕の手を売ります」(全10話)がFOD/Amazon Prime Videoにて10月27日(金)より配信開始。
■作品情報
『月』10月13日(金) 全国公開
■出演:宮沢りえ、磯村勇斗、鶴見辰吾、原日出子、高畑淳子、二階堂ふみ、オダギリジョー
■監督・脚本:石井裕也『茜色に焼かれる』『アジアの天使』
■原作:辺見庸
■音楽:岩代太郎
■企画・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸
■配給・制作プロダクション:スターサンズ
■制作協力:RIKIプロジェクト
■コピーライト:(C) 2023『月』製作委員会