エンタメの力を感じた、とてもいい経験でした

「もちろんこの旅だけではありませんけど、でもたとえば浮き沈みがあったときにも、あのときのおじいちゃん、おばあちゃん、子どもたち、みんなの顔を思い出すと、“集中して頑張らなあかん、恥ずかしいことできん”みたいな気持ちにはなります。

 エンタメの力を感じた、とてもいい経験でした。もちろん歴史的観点からも学びが多かったですし、作品に入る際への意識のTHE CHANGEにもなりました」

青木崇高 撮影/冨田望

――というと。

「みなさんとお酒を飲んだり、一緒にマーケットに行ったりしながらお話を聞くと、いろんな苦労をされてきていることが分かるんです。でも陽気に笑って生活している。そうやって異国、異文化で暮らしている、ひとりひとりの方たちの生活をしっかりと覗くことができたのは大きくて。誰かを演じる際の、できる限りの周辺の環境や価値観は、入る前に気にしようとしています」

――ちなみに「頑張らなあかん」というモチベーションの源として、ご自身の家族の存在も大きいですか?

「家族は人と比較ができないですよね。近くにありすぎて、たとえばうちの母親のことを一歩引いてみて再評価するみたいなことって難しい。家族の支えというのはもちろんあると思いますけど、そこは気づきにくい部分でもあります。

 わざわざ家族がいてめっちゃ感謝です、なんて四六時中感じているわけじゃないですよね。ふとしたときに、家族がいるからこうして仕事ができているんだなとか、ふとしたときに、これは家族がいなかったらできなかったな、とか思うことはありますけどね。ずっとDNAレベルで一緒にいるわけだから。

 THE CHANGEとしては、やはり南米への旅です」

 青木さんから感じる大きさは、体だけではない。

あおき・むねたか
1980年3月14日生まれ、大阪府出身。02年に映画デビュー。06年にNHKドラマ『繋がれた明日』で初主演を務め、翌年、連続テレビ小説『ちりとてちん』でヒロインの相手役を務めて広く認知されるようになった。10年には『龍馬伝』で大河ドラマ初出演。映画では、『るろうに剣心』シリーズの相楽左之助が高い支持を得た。ほか主な作品に大河ドラマ『平清盛』『西郷どん』『鎌倉殿の13人』、ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』など。2023年11月公開の東宝ゴジラ70周年記念作『ゴジラ-1.0』では主人公の敷島が戦時中に出会う海軍航空隊の整備士・橘宗作を演じている。

●作品情報
映画『ゴジラ-1.0』
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
出演:神木隆之介浜辺美波山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆安藤サクラ佐々木蔵之介
(C) 2023 TOHO CO., LTD.
配給:東宝 
公開:11月3日(金)、全国東宝系
上映時間:125分