『ジュラシック・パーク』の影響
――冒頭からあの世界へ一気に引き込まれました。しかしなるほど、“一番の基本”ですか。
「とはいっても、やはり特別ですよ。人物相手だと相手からの情報を受け取って芝居をしていけますが、ゴジラがどういう情報を発しているか、サイズ感、何をしてどういう動きをしてどう壊しているのかといったことを組み立てながらですから。
自分たちのリアクションが、観客の方の感情移入に完全に直結するわけですからね。しかも最初のシーン。怖いですけど、試されるところはありますね」
――青木さん自身が、子どもの頃のエンタメ体験などで、一気に心を奪われたといった経験を挙げるなら?
「それこそゴジラに似ていますけど、スティーヴン・スピルバーグの『ジュラシック・パーク』(1990)はすごかったですよね。すごい技術で。最初にブラキオサウルスとか首長竜みたいなのが出てきて“うおー!”となるわけですけど、あのレベルの感動を届けたいですよね。
あれもやっぱり恐竜のCGがあって、それに役者さんのリアクションがあって、それを観客が受け取るわけなんですよね。そういう感情のメカニズムがある。僕のリアクションが、観客のリアクションにつながるんだと。その橋渡しをちゃんとしなければいけないんだ、と意識しています」
フィクションの世界と観客との橋渡し。そのことを意識している青木さんが演じているからこそ、キャラクターの感情も「届く」。ゴジラを目撃する観客も、同じ感情を共有できることだろう。
あおき・むねたか
1980年3月14日生まれ、大阪府出身。02年に映画デビュー。06年にNHKドラマ『繋がれた明日』で初主演を務め、翌年、連続テレビ小説『ちりとてちん』でヒロインの相手役を務めて広く認知されるようになった。10年には『龍馬伝』で大河ドラマ初出演。映画では、『るろうに剣心』シリーズの相楽左之助が高い支持を得た。ほか主な作品に大河ドラマ『平清盛』『西郷どん』『鎌倉殿の13人』、ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』など。2023年11月公開の東宝ゴジラ70周年記念作『ゴジラ-1.0』では主人公の敷島が戦時中に出会う海軍航空隊の整備士・橘宗作を演じている。
●作品情報
映画『ゴジラ-1.0』
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介
(C) 2023 TOHO CO., LTD.
配給:東宝
公開:11月3日(金)、全国東宝系
上映時間:125分