テレビ番組での歯に衣着せぬコメントで存在感を発揮した女装家、ミッツ・マングローブさん。ドラァグクイーン、高学歴タレント、徳光和夫さんの甥……などさまざまな肩書きでメディア進出をしたミッツさんだが、本人の口から語られるのは、意外な素顔だった。ミッツさんのTHE CHANGEを探る。【第1回/全5回】
テーブルにBAO BAO ISSEY MIYAKEのポーチが無造作に置かれている。自宅にはさまざまなデザインのBAO BAOがあふれ、芸能界でも屈指のコレクターとして知られるミッツ・マングローブさんに、「BAO BAOのポーチ、すてきですね」と声をかけると、目を細め、口角を上げ、無言の返事をしてくれた。
つい見とれてしまう、無駄をはぶいた優雅な所作。
10月10日より配信が開始したAmazonオーディブル(以下Audible)のオリジナルポッドキャスト番組『if…』の、番組ナビゲーターを務めるミッツさんだが、ここでも、鼓膜をしなやかに揺らす、優雅な低音ボイスを聞くことができる。
ーーテレビやラジオとは違う心地の良さを感じました。しゃべり方を変えているんですか?
「私、聞いてないからわからないです。まだ1回しか収録していないんですけど、ラジオの進行をしているというスタンスで喋っています」
ーー声の仕事は、これまでもありましたか?
「そうですね。興味はすごくあるんですけど、そんなに声色をいっぱい持っているわけはないので、このトーンだと、声と名前を晒してしまうと、カラーが決まっちゃうから、声単品の仕事は偏ったものしかないんです。名前を伏せて、声だけでなにか作れたらおもしろいなと、昔から思っているんですけどね」
ーーたとえば、どんなものですか?
「CMのナレーション。”実はあれの声、あの人なんだよね”っていうのがあるじゃないですか。名前を出さずに。そういう仕事とか、本当は番組提供のナレーションとかすっごいやりたいんですよ。”ご覧のスポンサーでお送りしました”とか。定型文が昔から好きなんです」
ーーご自身の声はお好きですか?
「音楽の授業とかで歌を録ったりすると、気持ち悪いかなと思っていましたけど、20代くらいから、たまにですけど、”声がいいね”とか。”その声でエッチなこと言ってみて”とか、よく言われてたんです」
ーーちなみに、どんな言葉を請われたんですか?
「ゲイのちょっとオラついた感じで名前を呼んでくれ、とか。”おい、トオル!”とか。それを留守電に入れてほしいって先輩に言われたことがありました」
ーーそれはいいですね!
「”ミッツの声、いいから、こっそり留守電に入れて名前を呼んでくれ”って」