リアクションが薄いからワイプに抜かれない

 ミッツさんが、オネエブームと同時期に発生した高学歴タレントのブームに乗り、メディアにその名を知らしめたのは、2010年頃のことだった。

「そんなジャンル、まだあるんですかね? 10年以上前の話ですよ。当時は、メッキが剥がれないんだったら、そこに乗っかって、なんとなく知ったかぶりをやるのはたぶん上手なんで。でも意外とちんぷんかんぷんっていうね」

ーーそんなふうには見えませんでした。

「かといって、ほかのタレントさんに比べたら、興味のないことにすごく興味があるようなふりをするのも下手なんですよ。まずいモンを”おいしい”って言うじゃないですか、タレントって。私はそれができないんです。まずいとも思わないんですよ。昔からすごくリアクションが下手っていうか薄いし、わかりにくいから。だからワイプとかに抜かれないんです」

 福沢諭吉について「ああー、たしかに」とわかったような相槌を打ってしまったことが、ミッツさんの率直な発言に恥とともに浮き彫りになる。ワイプには抜かれにくくとも、飾らない人柄だからこそ、仕事仲間から厚い信頼を寄せられているのだろうと、納得せざるを得なかった。

ミッツ・マングローブ
1975年4月10日生まれ、神奈川県出身。幼少期をロンドンで過ごし、帰国後、慶應義塾高校に入学。慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、英国ウェストミンスター大学コマーシャルミュージック学科へ留学する。20代中盤より、新宿二丁目でドラァグクイーンとして活動をスタート。『5時に夢中!』(TOKYO MX)、『スポーツ酒場 語り亭』(NHK BS1)、『GINZA CASSETTE SONG』(BS-TBS)にレギュラー出演中。2005年に同じく女装家のギャランティーク和恵、メイリー・ムーとの女装歌謡ユニット「星屑スキャット」を結成し、2012年に『マグネット・ジョーに気をつけろ』で配信デビュー。精力的にリリース、全国ライブツアーを行っている。