55歳。映画、ドラマ、舞台とますます乗っている俳優・佐々木蔵之介。朝ドラ『オードリー』で注目され、『ハンチョウ』シリーズ、映画『超高速!参勤交代』ほか多くの作品で知られ、主演ドラマ『マイホームヒーロー』も放送中の佐々木さんは、舞台出身の確かな演技力と存在感、魅力的な声で現れるだけでその場を支配する。そんな佐々木さんのTHE CHANGEを聞く。【第1回/全4回】

佐々木蔵之介 撮影/冨田望

 現れた瞬間に、その場の視線を惹きつける。182センチの佐々木蔵之介さんは、周囲からひとり抜きん出るが、それだけが理由ではない。力みなくすっと立つ姿勢の良さ、自然と立ち上がってくる品と色気。

 夕方に差し掛かり始めた時間帯。写真撮影のために、出窓に腰かけると、佐々木さんの横顔に西日が当たりはじめた。「ここですか?」穏やかに、同時に芯のある声を聞くだけで、舞台が始まるのではないかと錯覚しそうだ。その引力のまま、公開されたばかりの大作『ゴジラ-1.0』の撮影秘話を話してくれた。

――戦後を舞台にした、ゴジラ70周年30作目の記念大作です。

山崎貴監督も東宝の本丸だとおっしゃっていました。でも僕としての意識は、怪獣ゴジラの映画に出させていただいたなと、そのことだけなんです。単純にあの世界に自分が入れることへの楽しみ、そして山崎作品の世界へ入れることの。ゴジラ作品も一方的に観ていましたが、山崎組への作品も初めてですから」

 今作は、かねてよりゴジラのファンだと公言し、VFX制作に定評のある山崎貴監督(『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『アルキメデスの大戦』)が手掛けている。

「今回は艇長役ですが、まさに一緒の船に乗れる喜びを感じました。台本を読ませていただき、初めての衣装合わせのときに監督に“早く観たいです!”と言ったんです」

 そう言って、穏やかながらも熱っぽく語りだす。

「そしたら監督も“僕も早く観たいです”って(笑)。ト書きにしても何にしても、これが映画になったらさぞすごいだろうなと思うシナリオでした。銀座あたりのくだりにしても、ページをめくり、ページをめくり(めくる動きをしながら)、これを映像化できるのかと。早く観たい!と」