実際に海で撮影

 銀座のシーンといえば、早くから解禁になっていた予告編でも話題になっていたが、“山崎ゴジラ”が姿を現し、人々を、銀座の街を襲っている。あの熱量が、シナリオからも伝わってくるのだろうか。

「ゴジラが現れて、ワー、キャ~と人々が逃げるわけですよね。あの感じが、ト書きで文章化されているわけです。僕なりに想像していくわけですが、どう映像になるんだろう、どうするつもりなのかなと。監督の頭の中には、画としてはっきりと見えているから、シナリオにもあそこまで描けるのでしょう」

 映画本編を観たすぐあとでの取材であり、その映像はしっかり頭に残っていたが、佐々木さんの語りで、シナリオもぜひとも読みたくなる。

 さて、山崎作品といえばVFXしかり、『三丁目の夕日』の頃から、何より実景との融合により、その世界へと没入させていく力がある。佐々木さん演じる秋津淸治は、戦争から帰還した主人公・敷島浩一(神木隆之介)が出会う、戦後処理の特殊任務を請け負う船「新生丸」の艇長だ。海上シーンは、CGによる処理がほとんどだと思っていたが、撮影は実際の海で行われたという。

――CG処理ではないんですか? あの波も、大きなプールに水を張っての撮影では。

「実際に海に出ています。1週間くらいかけて。映画をご覧になれば分かりますけど、僕らの乗っているのは、ボロッボロの木造船です(笑)。あれに乗って、浜松の海で撮影したんです。海上で、カメラの船、先導する船、監督の船、救助用の船と、まあいろいろな船が僕らの船を取り囲んでの撮影でした。いい風を撮りたい日もあって、本当に転覆するようなときもあったり」