55歳。映画、ドラマ、舞台とますます乗っている俳優・佐々木蔵之介。朝ドラ『オードリー』で注目され、『ハンチョウ』シリーズ、映画『超高速!参勤交代』ほか多くの作品で知られ、主演ドラマ『マイホームヒーロー』も放送中の佐々木さんは、舞台出身の確かな演技力と存在感、魅力的な声で現れるだけでその場を支配する。そんな佐々木さんのTHE CHANGEを聞く。【第2回/全4回】

佐々木蔵之介 撮影/冨田望

 1990年の人気劇団「惑星ピスタチオ」旗揚げから1998年の退団まで、看板役者として活躍した佐々木さん。大学時代と、大学卒業後の会社員時代は俳優との二足のわらじを履いていた。そこから道をひとつに絞り、俳優としてのキャリアは、30年以上になった。

――佐々木さんのご実家は代々続く京都市の造り酒屋ですね。継ぐための勉強の意味もあって、大学卒業後は広告会社に就職されていたとか。しかしそこから、主軸を、大学時代から続けていたお芝居へ置くことに変えました。

「そうですね。僕の人生におけるTHE CHANGEと言えるのは、やはり俳優をやろうと決めた時ですね。会社員をしていたときは家業を継ぐつもりだったんですけど、そのことを家族には諦めてもらいました。学生時代からやっていた芝居が面白くて」

 ここまで話すと一旦、片手で顎に触れ、すこしの間考えをめぐらせた佐々木さんは、「THE CHANGE」に修正を加えた。

「……いや、さっき、俳優をやろうと決めた時と言いましたが、ちょっと違いますね、“今はまだ芝居を終わらせられない気がした”というのが正しいかな。はっきりと、これを続けたいという強い覚悟を持って会社を辞めたかどうかはわからないです。ただ、芝居を、今は終わらせられないと思ったんです」

――そのとき、ダメだった際にはご実家を継ぐ道を残すという選択肢は。