以前は突破できたことも諦めなければならないことが出てくる
「選ぶというか、より大切に考えていきますね。大切に芝居をやろうと。今までもそうしてやってきましたが、以前は突破できたことも諦めなければならないことが出てくる。これでは続けられないから、別の合理的な方法で考えてみようと。それは楽をするという意味ではなく、今まで培ってきた経験によって、新しい方法を生んでいくことです。もちろん芝居に関してはギリギリまで考えますけど、調整を考えることも必要です」
調整を考えながら、変化をしながら合理的に進むとして。役者は引退のない仕事だとも言われる。たとえば無名塾主宰の仲代達矢さんは今年90歳だが、映像作品への出演のほか、主戦場である舞台には、2000年以降も毎年立ち続けている。
「よくあの年齢で立ってらっしゃいますよね。橋爪功さんも、よく共演させていただくのですが、橋爪さんって、映画でもドラマでもすごく軽やかなんです。ちょっと腹立つくらい軽やか(笑)。柄本明さんもですけどね。軽やかさとしなやかさ。尊敬しますね」
――キャリアも年齢も重ねての軽やかさというのは、ご自身もキャリアを重ねて、より一層凄さを感じますか?
「そうですね。何度も共演させていただいている中井貴一さんも、間近で見ていてそうですね。ずっと映画もドラマも舞台もやられていて。先輩方の姿を見ると、本当にすごいな、簡単にあきらめちゃいけないなと思います」
周囲の先輩たちを尊敬しているからこそ、静かな語り口のなかにも、闘志が見える。
ささき・くらのすけ
1968年2月4日生まれ、京都府出身。劇団惑星ピスタチオの旗揚げに参加し1998年の退団まで看板俳優として全作品に出演。上京後はドラマや映画へと活動範囲を広げ、2000年のNHK連続テレビ小説『オードリー』で注目を浴びる。舞台『狭き門より入れ』(10)で読売演劇賞優秀男優賞を受賞、映画『超高速!参覲交代』(14)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞、『空母いぶき』(19)で優秀助演男優賞を受賞。現在放送中の主演ドラマ『マイホームヒーロー』は、来年映画版も公開予定。公開中の『ゴジラ-1.0』では特殊任務を請け負う船「新生丸」の艇長を熱演している。
●作品情報
映画『ゴジラ-1.0』
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介
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配給:東宝
公開:11月3日(金)、全国東宝系
上映時間:125分