55歳。映画、ドラマ、舞台とますます乗っている俳優・佐々木蔵之介。朝ドラ『オードリー』で注目され、『ハンチョウ』シリーズ、映画『超高速!参勤交代』ほか多くの作品で知られ、主演ドラマ『マイホームヒーロー』も放送中の佐々木さんは、舞台出身の確かな演技力と存在感、魅力的な声で現れるだけでその場を支配する。そんな佐々木さんのTHE CHANGEを聞く。【第4回/全4回】

佐々木蔵之介 撮影/冨田望

 テレビや映画での活躍も絶えない佐々木さんだが、毎年1度は立つことを目標に掲げているなど、舞台人としての意識が高い。

――舞台上でのハプニングで覚えていることはありますか?

「ハプニングですか……舞台って、事故は絶対起こるんです」

――絶対に!?

「絶対に起こるものです。起こるものと思って、それで“わー!”となったらダメ。そのハプニングが、お客さんにまで露呈してしまうのはわずか数パーセントですが、露呈してしまった場合には、それをいかにお客さんと楽しむか。舞台はやっぱり生なんだなと、今日ここに来たからこれを体験できたんだなと思って帰っていただく。どんなアクシデントでも、プラスに変換して帰っていただけるように」

 アクシデントはつきものと語る佐々木さんだが、2004年、新橋演舞場での舞台『おはつ』での出来事は、いまもよく覚えているという。

松たか子ちゃんとやった舞台で、僕と北村有起哉くんが、命をかけてやりあうという立ち回りだったんです。どう考えても僕が弱そうなんですけど(笑)」

 テーブルの上で、松さんと佐々木さん自身の位置、北村さんの立ち位置を、砂時計も使って示しはじめた佐々木さん。

「北村くんの刀が僕の頭の上にバッと来るときに、僕が頭を下げるのが遅くてですね、落ちたんです(かつらが)」

 と、“かつら”と言葉に出さずに、ジェスチャーで示す佐々木さん。