役に対して、僕が一番分かってあげたい

 そんな佐々木さんが芝居を続けるエンジンになっているものを聞くと、一番は、やはり「観客」とのこと。そのうえで次のように話す。

佐々木蔵之介 撮影/冨田望

「その前段階としては、役そのものがエンジンです。役に対して、僕が一番分かってあげたいと思うから。誰よりも。作家も監督ももちろんですが、肉体としてやるのは僕で、僕はその役を否定しない。客観性で否定しなきゃいけない部分はでてくるけれど、でもまずは彼を分かってあげたい。

 だから役作りというのは、彼を演じることよりも、彼がどんなことを考えているのか、彼を探求するエネルギーのことなのかなと。まずはそれを表現することより、探求すること。一方で表現するというのは広い視野で見なきゃいけない。自分の立ち位置や役割、映画のストーリーのうねり、そういったものを考えます」

――なるほど。

「だけど、まずは誰よりも君の味方であって、君を理解してあげようと思って演じています。探求する行為であればいいと思っています。どこまでできるか分からないし、どこまで表現できるか分かりませんが」

 こちらの目をまっすぐに見ながら話す佐々木さん。役に真摯だからこそ、作品にも観客にも真摯なのだとしっかりと伝わってきた。醸し出すオーラの一番奥にある源は、“真摯さ”だった。

ささき・くらのすけ
1968年2月4日生まれ、京都府出身。劇団惑星ピスタチオの旗揚げに参加し1998年の退団まで看板俳優として全作品に出演。上京後はドラマや映画へと活動範囲を広げ、2000年のNHK連続テレビ小説『オードリー』で注目を浴びる。舞台『狭き門より入れ』(10)で読売演劇賞優秀男優賞を受賞、映画『超高速!参覲交代』(14)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞受賞、『空母いぶき』(19)で優秀助演男優賞を受賞。現在放送中の主演ドラマ『マイホームヒーロー』は、来年映画版も公開予定。公開中の『ゴジラ-1.0』では特殊任務を請け負う船「新生丸」の艇長を熱演している。

●作品情報
映画『ゴジラ-1.0』
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
出演:神木隆之介浜辺美波山田裕貴青木崇高吉岡秀隆安藤サクラ、佐々木蔵之介
(C) 2023 TOHO CO., LTD.
配給:東宝 
公開:11月3日(金)、全国東宝系
上映時間:125分