『左ききのエレン』インディーズ連載を辞めない理由

ーーそういう設定は、どうやって決めていたんですか?

「漫画家でこういうことをやる人っていないと思うんですが、周りに聞いてまわったんです。“いくらで広告案件を受けているか”と。情報を集めて、分析して。絶対に失敗しないように」

ーー「失敗しないように」というのは、かっぴーさんの行動原理の大部分を占めているように感じます。むこうみず感が、まったくないですよね。

「絶対に失敗したくないんですよ(笑)。どうしたら失敗しないかということを、ずっと考えています。最初の頃は、トークイベントに出演すると、お客さんがみんな下に見てくるんですよね。会社員の方たちが、“すごいっすねー! 漫画だけで食っていけるんすか?”みたいな感じで。黎明期のYouTuberを見るような感じといいますか。“今は調子いいだろうけど、数年後、どうなっていることやら”みたいな」

 皮肉を受け流せたのは、ロジカルに考え抜かれた戦略に自信があったから。そしてもうひとつ、「失敗しない」ために、持ち続けている信念がある。

「たとえば新しく連載を始めるとき、“自分じゃなくても作れる面白さ”を感じてしまったら、その仕事はやるべきではないと思っていて。そのマンガは、結果面白く仕上がるかもしれない。でも、俺がつまらない。自分がつまらないものはどんどんどんつまらなくなるから。僕は一生、自分がおもしろいと思うものを描いていきたいと思っています。だからいまもずっと、『左ききのエレン』はインディーズマンガとして『note』で描き続けているんです」

 会社員から専業漫画家にCHANGEしたかっぴーさんのストーリーは、働き方で悩むすべての人にとってのヒントとなり得るだろう。

■かっぴー
1985年、神奈川県生まれ。漫画家。漫画原作者。株式会社なつやすみ代表。武蔵野美術大学を卒業後、大手広告代理店・東急エージェンシーにてアートディレクターとして勤務。Web制作会社のプランナーに転職後、趣味で書いた漫画『フェイスブックポリス』がSNSで拡散され話題に。2016年に漫画家として独立。リメイク版『左ききのエレン』(『少年ジャンプ+』)、『アントレース』(『ジャンプスクエア』)、『15分の少女たちーアイドルのつくりかたー』(『ビッグコミックスピリッツ』)、『晴天のデルタブイ』(『LINEマンガ』・『eBookJapaN』)の原作を担当。現在は『note』で『左ききのエレンDOPE』、『WEB UOMO』で『柳さん ごはんですよ』を連載中。また、複数の新連載漫画と原作版『左ききのエレン』のアニメ化も控えている。