「天才になれなかった全ての人へ」というキャッチコピーで一躍話題となった漫画『左ききのエレン』。作者のかっぴー自身も「天才」を意識しながらもがいた過去がある。かっぴーさんが「ここから、人生が始まった」とまで話す、THE CHANGE、人生の転機とは――。【第2回/全5回】

かっぴー 編集部撮影

 2009年に広告代理店に入社し、2014年Web制作会社に転職、勤務しながら、『cakes』(現・note)にギャグ漫画『フェイスブックポリス』を投稿したのが、2015年9月のこと。Twitterを中心に話題となり、会社を辞め専業漫画家へと転身したのは、30歳のとき。而立を迎えるタイミングだった。

「その時期に『左ききのエレン』の読み切りを描いたら、『cakes』から連載の依頼をいただきました。当時は無名媒体で、しかも初月の原稿料、これは一生忘れないと思いますが、4000円だったんです」

ーー1話4000円ですか?

「いや、4話分で4000円です。だから1話1000円」

ーーその数字を見て、どう思いましたか?

「うれしかったです。自分が描いたマンガで、お金がもらえるなんて……! と思って。『フェイスブックポリス』がバズったときは、投げ銭で100円もらったんですよ。数百万人の人に見てもらって、Twitterのトレンドにも上がって、得たお金が100円。金額だけ聞くと喜ぶようなことじゃないかもしれません。それでも“マンガがお金になった!”と、興奮した記憶があります」