国民的ドラマ『相棒』シリーズの初代相棒・亀山薫。日本中から愛されるこの男を演じるのが俳優・寺脇康文だ。画面からは、本人の輝くばかりの人柄がつたわってくるが、映像、舞台でも活躍を続け来年で40年となる役者生活のなかで寺脇さんに訪れた「THE CHANGE」とはーー。【第4回/全5回】

寺脇康文 撮影/川しまゆうこ

 寺脇康文さんの自他ともに認める当たり役、国民的ドラマ『相棒』(テレビ朝日系・毎週水曜よる9時)の亀山薫。2000年から2008年まで、そして2022年から現在も演じ続けている、水谷豊さん演じる杉下右京の“相棒”、警視庁特命係の巡査部長だ。

 そのキャラクターづくりに、寺脇さんは構想段階から関わっていた。

「プロデューサーさんたちと“どんな刑事にしたいか”ということまで話したんです。そこで、自分はこういう刑事がやりたいと伝えた。だから薫ちゃんは、自分がやりたかったキャラクターなんです。推理はできないけど体力自慢で、ガッツと優しさで突き進んでいって、キメるところはキメる、という。僕が好きな『ルパン三世』に通じるものがあるんですけどね」

 寺脇さんの憧れが反映された亀山薫と、まったく真逆の性質を持つ杉下右京。互いに「ふたりの距離感がうまく縮まれば、このドラマは成功するね」と話していたという。

ーー手応えを感じた瞬間があったのでしょうか。

「ある夜、ロケをやっているときに、なんか急に豊さんが“うまくいってるかもよ”と、ぽつりと言ったんです。自分もそう思いました」

 ふたりの予感は的中した。視聴率は右肩上がりで、『season1』の平均視聴率が13.3%だったのに対し、『season7』は18.1%まで上昇していた。多くのファンが全国に存在することを寺脇さんも肌で感じていた。