「身から出たサビではあるけれど、一度渦中に身を投じた僕としては、やっぱりマスコミって怖いな、とは思います」
僕が僕でいられなくなってしまうから、という言葉に、もともといまの境地にいたわけではないことが伝わってくる。
――メディアが喧伝している面があるとの言葉もありました。虚像を作られて「イメージと違った」と崩された、という思いはありますか?
「僕らはイメージで飯を食ってる部分もありますから。とはいえ、そのイメージが良かったから崩しがいがあるぞと、振り切るほうへと集団心理を掻き立てるマスメディアの恐怖はあるな、と思います。身から出たサビではあるけれど、一度渦中に身を投じた僕としては、やっぱりマスコミって怖いな、とは思いますよ」
――実体験として。
「正しく言うと、怖いというか、責任が過ぎる部分もあるんじゃないかと思います」
――しかし、それでもこうした場に身を置き続けています。
「僕は、好奇の目にさらされることが仕事だとは思っていないので。お芝居をして、そのパフォーマンスへの対価としてギャランティをもらう。それを仕事として僕はやっています」
その強い意志が、今年、来年と、途切れぬ仕事を呼び寄せているのかもしれない。
■東出昌大(ひがしで・まさひろ)
1988年2月1日生まれ、埼玉県出身。高校時代にメンズノンノ専属モデルオーディションでグランプリを獲得。2006年から2011年までパリ・コレクションにモデルとして出演。2012年の映画デビュー作『桐島、部活やめるってよ』から俳優に転身。2013年に出演したNHK朝ドラ『ごちそうさん』のヒロインの夫役でブレイク。『聖の青春』『菊とギロチン』などで評価され『コンフィデンスマンJP』などでも人気を博すも、2020年、私生活のスキャンダルで公私ともに影響を受け、フリーランスとなる。現在、2023年4本目の公開作となる、ニヒルな“ヒモ”男を好演する偶像劇『コーポ・ア・コーポ』が公開中。関東近郊の山小屋で自給自足の生活を送っているが、2024年もその狩猟生活を追ったドキュメンタリー『WILL』を含め、すでに3本の映画が待機している。