本当に動物達と一緒に温泉に入った!

石川「僕らもね、90年にデビューした時に動物達と一緒に温泉に入るCMがあったんだよね。今だったら合成でやると思うんだけど、本当に動物達と一緒に温泉に入ったからね」

長嶋「大変なロケですね!」

石川「そうそうそう、もうラクダが暴れたりね」

長嶋「巨大な温泉状のものを作ったということですよね」

石川「水中に一応仕切り場はあるんですけど、ゾウとか来るからね」

コナリ「”ゾウとか来るからね”。すごい話だな」

石川「猿とか犬はゾウとかラクダを怖がっちゃって、逃げ回ってるし」

長嶋「そりゃそうですよね、だって、本来ゾウと猿が一緒にいるわけないからね。すごい現場を経験してたんだなってのは石川さんの自伝を読んで思いました」

石川「そのエピソードも原田高夕己さんに漫画に描いてもらいました」

長嶋「そうか、僕は小説を漫画にしてもらったんだけど、自伝が漫画になるのは、大きく違いますよね。石川さんが書いた自伝と原田さんが描いた漫画の読み味が大きく違ってて」

石川「うんうん」

石川さんの自伝を手に興奮気味に話す長嶋さんとにこやかに頷く石川さん

漫画『「たま」という船に乗っていた』の話

 話の流れは石川さんの同タイトルの自伝を原田高夕己さんがコミカライズした『「たま」という船に乗っていた』に移ります。

長嶋「例えばイカ天キングになった時も当事者の石川さんのエッセイでは”とんでもないことになってしまった!”みたいな感じで2、3行なんですよ」

石川「うん、そうですね」

長嶋「でも、漫画では『イカ天』で『らんちう』を初めて聞いた時のリスナー側の衝撃が描かれてるんですよね。一方『たま』の方は淡々といつも通りに演奏してるんですよね」

石川「そうね。いつもライブでやってる曲だからね」

長嶋「でも原田さんはもう純粋に『たま』を観て感動した人じゃないですか。だから『らんちう』演奏シーンの時間のかけ方、尺の取り方、コマの切り方がもう入念ですごい見開き、感動しましたね」

石川「平田さん…編集さんの意見も強くてね」

長嶋「自伝が漫画になって、いかがでした?」

石川「いや、なんかもうすごく読みやすくなったし、世間からはそういう風に見られてたのねっていう新たな発見がありました」

長嶋「『らんちう』演奏回で強面の評論家然とした竹中労さんが、深夜に書き物しながらテレビから流れてきた『らんちう』を聞いて涙を流すじゃないですか。多くの視聴者がそのレベルの衝撃を受けたのよね。でも本人たちは全然気づいてない!」

石川「うん、気づいてない。来週も出るのか~っ曲どうしよう~ってことしか考えてなかった」

つづく

■石川浩司(いしかわこうじ)
1984年、「たま」を結成。担当はパーカッション。89年の「イカ天」出演を機に翌90年にメジャーデビュー。2003年の「たま」解散後も精力的に音楽活動を続ける。

■長嶋有(ながしまゆう)
2002年、「猛スピードで母は」が第126回芥川賞受賞。2007年、「夕子ちゃんの近道」が第1回大江健三郎賞受賞。2016年、「三の隣は五号室」が第52回谷崎潤一郎賞受賞。

■コナリミサト(こなりみさと)
「凪のお暇」が「このマンガがすごい!2019」オンナ編第3位、「第65回小学館漫画賞少女向け部門」受賞、黒木華主演でテレビドラマ化。秋田書店「Eleganceイブ」にて連載中。