赤井英和のキャリアは唯一無二だ。世界を狙えるボクサーから大事故で引退。その後、俳優となり。1989年公開のデビュー作にして主演作『どついたるねん』が絶大な評価を獲得し、以来、30年以上にわたって活躍を続けている。
その活躍は、妻の佳子なしではありえなかった。一女二男を育て、マネジャーとして日々の現場にも同行。佳子さんが赤井家の日常を投稿するXは絶大な人気を獲得している。
2人にとっての「THE CHANGE」とはなんだったのか。あらためて、30年にわたる半生を聞いた。【第6回/全10回】
リングでの事故から3年、赤井英和さんはあらたな舞台、映画に主役として臨むことになる。自伝を元にした映画『どついたるねん』。阪本順治監督の傑作だ。
赤井「あの『どついたるねん』っていう映画も、実際にスクリーンでご覧になった方は本当に少ないと思うんですよ。 単館ロードショーで荒戸源次郎事務所の荒戸さんがエアドームのテントを建てて、原宿の広場で上映したりとか。
だから『どついたるねん』撮ってから何年かはもう仕事なかったですよね。上映もけっこう長いことやって、舞台挨拶に行ったりとかしましたけど、それ終わってからもしばらく……。
で、ビデオが出てDVDになってポツポツと。デビューはそれでさせていただいたんですけども、それから時間差がありましたけどね」
佳子「映画自体はもうすごく評価されました。私も最高だと思いますね。映画が好きとか、わかるとか、関係なく最高じゃんって思って、本当に思います。
阪本監督の作られた映画で、赤井も全力だったんですけど、コントロールできないパワーがありました。そこが、やっぱり監督が最大に引き出してくださったところで、本当にゲロを吐いたりとか看板どついたりとか。だから、もう本当にドキュメンタリーみたいな映画」