社会にはいろんな人がいて、いろんなふうに感じるんだな

「わが家は大人ばかりで、男性は父だけ。同世代の男子に慣れていなかったからか、からかいやいじわるの対象にされてもうまくかわせなかったんです。だから女の子しかいない環境がとても清々しくて、すぐに馴染んでしまいましたね」

ーーご両親が、最初から12歳で自立させる、と決めていたのはなぜでしょう。

「田舎ですから、たとえば駅からタクシーに乗って“市毛です”と言うと、家に連れて帰ってくるような環境なんです。しかも、お金は親が払う。お金持ちではありませんけど、そんなお姫様みたいな環境は、ダメでしょう。東京では、小さな私鉄の駅を降りて“市毛です”と言ったって、誰もしらない。そうすると、実家での暮らしは普通じゃなかったんだ、ということが身をもってわかるんです。それを中学生で知ることができたのは、よかったと思っています」

 さらに、高校に進学すると寮生活を経験、社会性を身につけることができたという。

「寮は、中1から高3までの6学年で一部屋を構成していました。私は中間的な立ち位置でそこそこ上手く立ち回っていた気がするんですが、怖い上級生がいて(笑)。昨日まで小学生だったような中1の子が夜にホームシックで泣いちゃったりすると、高1の私が怖い上級生と下の子の間を取り持つ、みたいな感じで。

 そこで社会にはいろんな人がいて、いろんなふうに感じるんだな、ということを学びました」