赤井英和のキャリアは唯一無二だ。世界を狙えるボクサーから大事故で引退。その後、俳優となり。1989年公開のデビュー作にして主演作『どついたるねん』が絶大な評価を獲得し、以来、30年以上にわたって活躍を続けている。
 その活躍は、妻の佳子なしではありえなかった。一女二男を育て、マネジャーとして日々の現場にも同行。佳子さんが赤井家の日常を投稿するXは絶大な人気を獲得している。
 2人にとっての「THE CHANGE」とはなんだったのか。あらためて、30年にわたる半生を聞いた。【第7回/全10回】 

撮影/三浦龍司

 2人の長男・英五郎さんが監督した赤井英和さんのドキュメンタリー映画『AKAI』の冒頭は、何人もの世界王者を育て、赤井さんを指導していた名伯楽、エディ・タウンゼントさんが、試合中の赤井さんにかけていた声から始まる。

ーーあんなにはっきり、エディさんの声が録れているんですね。結果として、現役最後の試合になってしまった大和田正春戦です。

赤井「あの試合を前哨戦として、その次に世界タイトルの試合をもう1回しようっていうことで組まれて。で、セコンドの声もそのドキュメンタリーに入れよう、ということで。マイクを入れて。だからあんなにはっきり」

佳子「最初の真っ暗なところでエディさんの声だけ聞こえてるのは、英五郎が言うには、赤井はあの時の試合、リングに立った時にああいうふうになっていなんじゃないか、ってことらしいです。真っ暗な中、エディさんの声があるからただリングに立ってられるだけで、気力もなく、っていう赤井の頭の中から始まっている」