芋生さんが印象に残ったセリフ

――『朝がくるとむなしくなる』では、唐田さん演じる主人公の希は職場と自宅の往復を繰り返し、食事も適当に済ませる生活を送るなかで偶然中学時代の同級生の加奈子と再会し、自分らしさを取り戻していきます。唐田さん、芋生さんが『朝がくるとむなしくなる』のなかで印象的だったシーンはありますか?

唐田「加奈子の家に行って、部屋で語り合ったり、加奈子の家族と一緒にご飯を食べたりする最後らへんのシーンなんですけど……あのシーンのことはすごく今でも覚えているし、体の中に残っています」

芋生「私は、“みんなそんな正しくなんて生きられないよ”っていうセリフが強烈にずっと残ってて。こうやって社会の中で生きてたら、正しくあろうとやっぱりしちゃいますよね。大人だし、人付き合いもあるし、なんとかして正しくあろうとするけど、どんどん自由じゃなくなってしまって生きづらくなっていくから、そのセリフにいろいろこもっているというか……。

 主人公である希に言いつつも、加奈子自身にも言い聞かせている部分もあったりもして。希に対する心の救済だけじゃなくて、加奈子の心を救済するというどちらの面もあるなと思っています」

芋生悠 撮影/冨田望

 演者として真剣に作品に向き合う唐田さんと芋生さん。これからも様々な映画、ドラマ、舞台などで活躍することだろう。

唐田えりか(からたえりか)
97年生、千葉県出身。16年に本格的に芸能活動に専念し、18年に濱口竜介監督の作品『寝ても覚めても』のヒロインに抜擢される。22年には映画『の方へ、流れる』で主演。23年12月には、主演作品『朝がくるとむなしくなる』が公開。

芋生悠(いもうはるか)
97年生、熊本県出身。14年に第3回ジュノン・ガールズ・コンテストでファイナリストに選ばれ、翌15年より本格的に芸能活動を開始。19年の映画『恋するふたり』、『左様なら』で主演をつとめたほか、22年『牛首村』での奇子役やドラマ『ワンナイト・モーニング』(WOWOW)など、多数の作品に出演している。

■『朝がくるとむなしくなる』
主演・唐田えりか
芋生悠 ほか
監督・脚本 石橋夕帆
12月1日(金)よりシネクイントほか全国順次公開中