赤井英和のキャリアは唯一無二だ。世界を狙えるボクサーから大事故で引退。その後、俳優となり。1989年公開のデビュー作にして主演作『どついたるねん』が絶大な評価を獲得し、以来、30年以上にわたって活躍を続けている。
 その活躍は、妻の佳子なしではありえなかった。一女二男を育て、マネジャーとして日々の現場にも同行。佳子さんが赤井家の日常を投稿するXは絶大な人気を獲得している。
 2人にとっての「THE CHANGE」とはなんだったのか。あらためて、30年にわたる半生を聞いた。【第9回/全10回】 

撮影/三浦龍司

 赤井英和さんにとっては、俳優デビュー作で初主演作だった1989年の阪本順治監督の映画『どついたるねん』が、人生が変わった「THE CHANGE」だった。佳子さんとってのTHECHANGEはなんだったのだろうか。そう問いかけると、先に応えたのは赤井さんだった。

赤井「出会いちゃうん」

佳子「おっ……言うねえ」

ーー(笑)

佳子「でもそうですよね。やっぱり赤井に会ったことかな。一番最初に会ったとき、何してる誰だか知らなくて出会って、赤井はすっぱだかだったんです。スッポンポンだったんですよ。

ーースッポンポンの赤井さん。

佳子「そうですよ、で、そこで一目惚れして」

ーースッポンポンで?

佳子「スッポンポンで」

ーーそういうこともあるんですか。

佳子「はい、赤井はベロンベロンでした。その日、友達から連絡が来て、今日飲みに行けへんって言って、行く、行くって言って。合流したら今日、赤井も来てんねんけどって言うので、誰だろうと思って」

ーーその時は赤井さんをご存じなかった。

佳子「まあいいや、行けば分かるかな、と思って行ったけどわかんなかった。ボクシングを知らなかったですし、そもそもあんまりテレビとか見てなくて。テレビにも出てなかった。で、最初に誰だかわかんなかったって思ったけど、誰ですか、と聞くタイミングを失ったっていうか、ちょっと知ってる感じを出しちゃったんです」