佳子「最初に会った時の赤井は、ボクサーだった時の感じ。ギラギラした動物の雰囲気」

 赤井さんも、その出会いのいきさつは記憶しているという。

赤井「宮沢(りえ)さんとの民放のドラマ(※1992年の『東京エレベーターガール』。赤井さんは妻子がありながら宮沢さんと恋に落ちるメインの役)やってる時に、ある日、天候の具合で撮休になったんです。東京で知り合いもいてないし、することもないし、ホテルの部屋のビールや酒やら全部飲んでしまって。

 そうしたら、知り合いの田中さんっていう彼が東京に来てるのを思い出して、酒でも飲みましょうよって電話して、また部屋の酒やら何やら飲んでてガーって寝てたんですよ。そうしたら、田中さんが佳子ちゃんを誘って来てくれた」

佳子「まだ深い時間じゃなかったですけど、何回ノックしても電話しても出ない。これだけやって出ないってことはいないと思います、って言って、帰りましょうって言ったら、田中さんが、あいつはそういう奴やねんって言うんですよ。そういう奴やねんって。で、ホテルのフロントに電話して開けてもらったら、真っ暗な部屋の奥の方に立ってた。

赤井「浴衣をはだけて、パンツ履いてへんで」

佳子「どうしたの!って思って。何やってんのこの人、と。そこで出会って、私が一目惚れして、そこからもう」

ーーすごい一目惚れですよね。

佳子「そうなんです。それっで一目惚れ、っていう説明がうまくいかないくていつも。……変わってますね、っていう話になって終わるんですけど、映画『AKAI』を見て、なんとなく思ったのが、最初に会った時の赤井は、ボクサーだった時の感じだった。

 俳優になってから、いい人っていう役が多いじゃないですか。そうじゃなくて、もっとギラギラした動物みたいな雰囲気だったんです。

 酔っ払ってもうベロベロで何言ってるかわかんなかったんですけど、トースポ、トースポだけ言ってた。私たちにも何回もそれを言ってて。帰ってほしそうだったからすぐ帰ったんですけど、フロントを通ったら、また赤井が部屋から東スポ言って電話かけてたみたいで、ございませんって言って。ベルキャプテンの方が、赤井様、館内さがしましたがございません、ってに伝えてるんだけど。困ってる感じで、よっぽどそれが必要だったんだろう、と思って。

 だから私、東スポ持っていったんです」

ーーえっ。

「真夜中に東スポを持っていって、部屋のドアの下に差し込んで。こっちはほら、一目惚れしてますから。なんとか役に立とうと思ってますから」