クラシックにのめりこんだ少年時代

「なかでもドビュッシーに『映像』というタイトルのピアノの組曲があるんですが、これは聴いたときその世界観に大変驚きました。またストラヴィンスキーでいうと、『ペトルーシュカ』というバレエ音楽がありまして。もとはオーケストラの曲なんですが、ピアノでアレンジされていて、このレコードの曲と演奏にのめり込んでしまい、1日に何回も繰り返し聴いた記憶がありますね」

 ちなみに『ペトルーシュカ』の演奏時間は、楽譜のバージョンによって違いはあるものの35分ほどある。そのレコードを何度も繰り返した少年時代の新垣さんが、ストラヴィンスキーに夢中だったことが伝わってくる。

新垣隆 撮影/片岡壮太

「その後はそういったクラシック音楽と現代音楽、両方の流れを組んだ音楽を好んで聴いていったのですが、なかでも日本の作曲家の武満徹の音楽に出会って更にのめり込んでいきました」

 クラシック音楽から入り、現代音楽に出会って、深い深い音楽の世界を探求していった新垣さん。ではそれ以外のポップスなどには興味が向かなかったのかと思いきや、むしろ全く逆の答えが返ってきた。

「家族とテレビを見ている中で出会ったドラマの音楽であるとか、歌謡番組の音楽も大好きでした。ドラマは刑事ドラマとかコメディドラマがすごく好きでしたし、歌謡番組でいうと小学校低学年の頃に『ザ・ベストテン』(TBS系)が始まりましたので毎週観ていました。

 1980年前後の日本の歌謡曲は世代的にもすごく接する機会が多かったので、意識していなくても自分の音楽観にとても大きな影響を与えていると思います。とにかくあの頃の歌謡曲はキラキラしていたんですよね」