親戚の集まりで会ったような

 独特な空気感だった『彼方のうた』の撮影現場。共演した小川あんさん、中村優子さんとは、どんな雰囲気だったのだろうか?

眞島「そんなにコミュニケーションをたくさんとったというわけではないんですが、小川さんは、そのまま役の女性と接しているような感じになりました。直接、同じシーンはなかったと思うんですが、中村さんは僕が20代の頃から共演してきた方なので、現場で会ったというより、親戚の集まりで会ったような感覚でした。変わらないね、久しぶりだね、みたいな感じでしたね」

眞島秀和 撮影/三浦龍司

 親戚同士……確かに『彼方のうた』の出演者たちには、ごく近い知り合い同志が他愛もない話をして笑っている、そんな雰囲気がある。

眞島「実際にそういう人たちが集まるカフェとか、そういう場所をそのまま作品に取り込んでいるような感じで、こういう映画の作り方ってあるんだなって、思いました。美術とかも含めて、いろいろ作り込んでその場所を作っていくというよりも、人も含めて、そこにあるものに入っていって撮って、また次のところに行ってという。本当に不思議な人ですよ、杉田監督は」

 数多くの撮影現場を経験してきた眞島さんでも、かなり印象深いものだった杉田監督の作り方。この経験は今後、俳優としての仕事に必ずプラスになることだろう。

眞島秀和(ましまひでかず)
1976年山形県米沢市生まれ。99年の映画『青~chong~』の主演でデビュー。その後、2007年のドラマ『海峡』(NHK)、10年のドラマ『なぜ君は絶望と闘えたのか』(WOWWOW)で準主演する一方、膨大な数の映画・ドラマで名バイプレイヤーとして活躍する。クールなイメージがありながら、18年のドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)や、20年の『おじさんはカワイイものがお好き。』では個性的な役どころを好演。1月5日公開の映画『彼方のうた』では、メインとして出演している。

『彼方のうた』
脚本・監督 杉田協士
小川あん 中村優子 眞島秀和
2024年1月5日(金)より全国順次公開