おばちゃんに人気なタレントっていない
今では定番となった握手やハイタッチ会だが、本人たちはアイドルのつもりではなかったという。
「最初は握手やハイタッチ会もやっていなかった。テレビ朝日の朝の情報番組で、スーパー銭湯と、戦隊ものを合わせた『スーパー銭湯アイドル』って紹介されたんです。そこからアイドルって呼ばれるようになった。その後、銭湯にコンサートに行った時に、“アイドルって言われていたじゃない”って、おばちゃんたちもキャッキャって喜んでくれた。周りがそう呼ぶのならって思って、僕らも“アイドルの純烈でございます”って名乗り始めた。そうしたらいつの間にか、銭湯アイドルという言葉が定着してほかでもそう呼ばれるようになったんです。
お年寄りを沸かせるアイドルたちがお風呂屋さんにいるって話題になって、純烈の名前がどんどん広がっていった。それから2年後に、本当に紅白に出られるようになった」
――アイドルになったのは偶然だったのですね。
「純烈って、手の内を明かすと健康センターでコンサートをした時に、そこにいたのが年配の女性だったんです。周りを見渡してみた時に、おばちゃんに人気なタレントっていないじゃないですか。だからそこのファン層を増やしていこうと考えた。今ではバラエティ番組にもいっぱい出してもらえるようになって、若いファンの人もめっちゃ多いんですよ! でも俺は年輩向けのCMをやりたいから、“若いファンの人はSNSに投稿しないで”って言ったりしているんですよ(笑)。それくらいみんなの純烈になっていますね」
――幅広い年齢層から慕われる純烈ならではの、悩みもあるという。
「若い世代のファンを見ると、“本当はあなた、光GENJIやSMAP世代だったりするんじゃないの? “って思ってしまうんです。”僕らだとちょっと違うかな“って考えた時に、純烈よりも5歳か10歳下のメンバーでグループを作ってあげた方が、若い世代にはビシッとハマって長く活動できるんじゃないかなって思った。それが新グループのオーディション(純烈・酒井一圭プロデュース 『セカンドチャンス オーディション』)のきっかけでもあるね」
大の競馬好きとして知られている酒井さん。最後に「ちなみに競馬の勝率はどうですか? 」と筆者が訊ねると、笑いながら「全然当たらない」と答えた。
「でもね、本気でやると当たる! でも当たるようになると、競馬で妻子を食べさせていくことになってしまう……。あと周りからも毎週のように“明日はどんな馬が来ますかね”って聞かれるようになる。そういう人生を送りたくないからね(笑)。だから自分の必勝は極めない。実はあと2つくらい極めたら、確実に100パーセント当てられるんだけど」
筆者も、父の競馬好きが高じて府中生まれであると伝えると、「僕も同じです」と嬉しそうな表情で語り始めた。
「競馬に打ち込むために府中に住んだ。そして府中出身の女性と結婚したからね。もしも純烈がなくなって競馬しかなくなったら、いざとなったら競馬の道で食べていけるようにはしています。でも、競馬があるからこその『純烈』なんです。競馬ですればするほど、純烈の運気は上がっていくので(笑)。控室で百万当たろうが喜ばないし、何百万すろうが悔しがらない。1万円だろうが100万円だろうが、右から左で結局変わらない(笑)。もし勝っても、メンバーやスタッフにおごってしまうからね。競馬もすってしまって”バカだな“って言われているくらいがちょうどよいですね」
気取らず、これまでの波乱万丈な人生を語ってくれた酒井さん。あらゆる経験がにじみ出ている笑顔に、幅広い年代が魅了されているのに違いない。
■酒井一圭(さかい・かずよし)
1975年6月20日 生まれ。歌謡グループ「純烈」のプロデューサー、リーダー、元子役、元プロレスラー。主な出演作『逆転あばれはっちゃく』5代目桜間長太郎 役、『百獣戦隊ガオレンジャー』ガオブラック・牛込草太郎 役(ともにテレビ朝日系)、FODドラマ『純烈ものがたり』主演・酒井一圭 役 ほか
「純烈」オフィシャルウエブサイト;https://junretsu-official.com/top.php
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