デビュー4年目でNHK朝ドラヒロインとなった芳根京子。以来、CM、映画、ドラマで活躍し、2023年には10周年を迎えた。「現場にいる時間も長くなり、自分が何をすればいいのか」を強く考えるようになったという芳根さんのTHE CHANGEとはーー。【第1回/全4回】

芳根京子 撮影/有坂政晴

「今日は、カッコよくいこうと思って」

 黒のスーツでバシっと決めた芳根京子さんは、柔らかな笑みとともに取材部屋に現れた。思わず漏れた「カッコいい」という取材者の声に応えてくれたのが、冒頭の言葉だ。

 映画『カラオケ行こ!』で教師役を演じていたためスーツ姿は「先生を意識してのスタイルですか?」と聞くと、「いえ、主演の綾野剛さんたちが演じているヤクザの皆さんに憧れて」との意外な返事。そう聞くと、たしかに芳根さんが演じる姐さんも見てみたい。統一感のある、シンプルで品のいいイヤリングとネックレス、両手指のリングもよく似合っていた。

 芳根さんの俳優デビューは高校生。朝ドラのヒロインを含め、これまでにさまざまな役を演じてきた。デビューから10年を超え、役への向き合い方や現場での姿勢にも、変化が生まれているのではないだろうか。

「いろんな現場を経験させてもらってきました。役割や責任も増えていきましたが、お芝居に関しては正直、主役であろうとヒロインであろうと、ほかの役柄であろうと、向き合い方は特別大きく変わることはありません。

 ただ物理的にも現場にいる時間が長くなるなかで、“じゃあ自分は、この現場でどうすればいいのか。何をすればいいのか”といったことは、すごく考えるようになりました」

 ――主演を務めることも多いですよね。