作詞家・森雪之丞の世界ははてしなく広い。『ドラゴンボールZ』から『キン肉マン』、『プリキュア』といったアニメの楽曲から、布袋寅泰氷室京介、さらにはキャンディーズシブがき隊といったアイドルの曲も手がけてきた。激動の時代を越え、48年目を迎えたレジェンド作詞家の人生の転機とは?【第4回/全5回】

森雪之丞 撮影/冨田望

 取材者が、アニメ『キン肉マン』のエンディングテーマだった『キン肉マンボ』という曲が好きだった、と伝えると、森雪之丞さんは笑いながら答えてくれた。

「あの曲、作曲も僕だからね。普段、絶対行かないんだけど、カラオケにゆでたまご先生に連れて行ってもらったことがあって、『キン肉マンボ』を歌いました。歌っていて楽しいんですよね。自分の中では思い出に残る曲ですね」

 森さんのキャリアを語るうえで欠かせないのが、数多くのアニメソング。大人になった今でもつい口ずさんでしまう名曲は、どのようにして誕生したのだろうか。

ーー『キテレツ大百科』のオープニングテーマ『お料理行進曲』(1992年)は、どうやって作られたんでしょうか?

「アニメに出てくるキャラクターのコロ助が、コロッケが好きという設定だったので、打ち合わせの時に“コロッケが出てくる曲にしましょう”って決まった。コロッケをつくる歌詞にしようってひらめいたけれど、先にメロディーができていたので字数制限があって、どうしようか悩みましたね。

 ただ、レシピだけでは面白くないので、“いざ進め”とか、“タマネギが目にしみても涙をこらえて”っていうようなフレーズ入れて。そういうのがないと、ただのレシピだからね(笑)。最後の“キャベツはどうしたんだ?”というのはカタルシスだね」

『ドラゴンボール』『おそ松くん』など、森さんが手掛けたアニメソングは数多い。映像化された作品の原作には、目を通しているのだろうか。