世界観をしらないと、歌詞もやっぱり嘘になる
「基本的に、単行本が出ているものは先にすべて読みます。作詞家はその世界に入って、自分の言葉で語らないといけない。その世界観をしらないと、歌詞もやっぱり嘘になると思うんです。
ただ、まだコミックなどになっていない作品や、企画書だけの段階で曲作りが始まることもある。そういう時は想像力で作っていかなきゃいけない。『プリキュア』(『Dokkin♢魔法使いプリキュア!』2016年)も、実際にキャラクターたちが動いた映像はなかったです。魔法使いがテーマになると聞いて、(歌いながら)ラララ~っていうメロディになにを乗せるかってことですよね。
魔法使いなのに、飛ぶのが苦手にしようと思って、そういうイメージからなにを生み出せるのか。そういうフレーズがパッて出てきたら、意外と早くできたかな」
演歌界のプリンスだった氷川きよしさんのイメージを一新した『限界突破×サバイバー』も森さんの楽曲だ。『ドラゴンボール超』のオープニングテーマであり、NHKの紅白歌合戦でもなんども歌唱され、氷川さんにとって多くの人たちにも知られる代表曲となった。
「あの曲はね、彼自身もこれからの人生の扉を開けるっていうタイミングで見事に歌詞にハマっていた。扉がないなら壁をぶち破るっていうのは、孫悟空の精神を表している。だからこそ、氷川くんとリンクしたのだと思います」
多方面にわたる膨大な作品の数々。書けない、というスランプはありましたか? という問いには、軽やかに「全然なかった」と森さんは答える。