センスの部分はまだAIにはできないと思う
これまで作詞を手掛けた作品は、2700曲にも上るという。その創作のエネルギーはどこから湧いているのだろうか。
「自分でも、70歳になるのが信じ難いことなんですよ。でも現実(笑)。20代から作詞を始めてここまで続けてこられたのは、いい意味で仕事だと思っていなかったからじゃないかな」
最近話題となっているAI。人間の仕事を奪ってしまうと予想されているが、作詞はどうなのだろうか。
「AIで完璧な詩が書けるかはわからないけれど、単語のインプットの仕方で近いものはできるかもしれない。でも人間が持つ微妙なニュアンス。たとえば、普通は“これくらい”でも、“ちょっと尖ったフレーズはこれ”、みたいなさじ加減は難しいのじゃないかな。
おかしなフレーズをわざと入れたりとか、そういうセンスの部分はまだAIにはできないと思う。もし、AIがそういういたずらができるようになったら、たいへんなことだよね」
どんな話題にも、軽やかに答えてくれる森さん。常に若々しく、時代のCHANGEを楽しんでいるように思える。
●もり・ゆきのじょう
1954年1月14日生。東京都出身。作詞家、詩人、劇作家。大学在学中からオリジナル曲のライヴを始め、プログレッシブ・ロックバンド『四人囃子』のゲスト・シンガーとしても活躍。1976年に作詞&作曲家としてデビュー。以来、ポップスやアニメソングで数々のヒット・チューンを生みだす。90年代以降、布袋寅泰、hide、氷室京介など多くのロック・アーティストに詞を提供。リリースされた楽曲は2700曲を超える。詩人として、94年より実験的なポエトリー・リーディング・ライヴ『眠れぬ森の雪之丞』を主催。初の自選詩集『感情の配線』を2024年1月14日に発売。
作品情報
タイトル:森雪之丞自選詩集『感情の配線』
発売日:2024年1月14日
価格:2,500円(税別)
森雪之丞が1970年代より行動する詩人として、紡いできた珠玉のことば[詩]。
既発の詩集『詩画集 天使』『近未来詩集』『絶望を愛した38の症例(サンプル)』『天才的な恋』『扉のかたちをした闇』から著者自身が厳選し、さらに文芸誌『すばる』で連載時から話題となった天才・森雪之丞の生み出した図形詩が初収録。他、Act Against AIDSでの朗読の為に書下ろした詩作など、森雪之丞初のオールタイムベスト詩集。