書けないというようなスランプに陥りようがない

「たとえば、僕自身がシンガーソングライターでいいたいことがある語り部だったら、全部自分でやらなければならない。この場合だと、絶対にスランプに陥ると思います。でも、今日は布袋、明日はキン肉マン、ってなったら、行き詰まりようがないよね(笑)。だって毎日が新鮮だから。

 布袋に書いているのも、キン肉マンに書いているのもどちらも同じ人間だけれど、まず曲も違うし、アーティストに託すものも全然違ってくる。そういう意味では、書けないというようなスランプに陥りようがない。

 ひとりのアーティストのアルバムの半分の楽曲に歌詞を書いてほしいと言われたら、それは別だけれど……。以前はよくアルバム全曲の歌詞を依頼されていたんです。それはもうね、大変……(苦笑)。たとえば恋愛や失恋っていうテーマがあっても、1人のアーティストが1枚のアルバムの中で歌うものに、どれだけの違いをつけられるのかっていう問題がある。あれは大変でしたね」

――書く時は紙ですか? パソコンを使っていますか? 

「パソコンですね。僕はワープロを使い始めたのが早かった。最初の頃のワープロって、モニター画面に出てくる文字が一行しかなかったんです(笑)。当時、秋吉久美子さんが出演していたCM(富士通『OASYS Lite』1984年発売)で、彼女が砂漠でワープロを打っていた。それを見て“かっこいい!”って思って次の日に買いに行きました。

 でも、使ってみたら前の行が読めなかったんだよね(笑)。だから清書にしか使えなかった」