「そこまでやる!?」 ってことをするのは、お客さんにそこまでの人がいるから

――純烈のファンは、ほかのアーティストなどのファンと違いますか?

「世の中の人にとっては、スーパー銭湯アイドルって呼ばれてワーキャー言われているだけなのだけれど、僕らからしたら“つらくて死にたい”と思っている人や、死んでしまうような“余命”がある人に対して、毎回勝負をかけてコンサートをやっているんです。純烈はなんでそこまでやるんだって思われたとしたら、それはお客さんにそこまでの人がいるわけだからなんです。純烈のファンには介護をされている人や看護師さんも多い。すごく大変な仕事をされている人が来るんだから、バーンっと重いパンチを返していく。そういう人たちにとっては、映画とかを観てもちょっと物足りないぞって思うんですよ。世の中の人から見たら、そこまでやる!? みたいなことをするから、プロレスのデスマッチみたいに見えるんじゃないかな」

 デスマッチというプロレス用語がさりげなく会話に繰り出されるのが、メジャーとサブカルチャーを縦横無尽に取り入れる感性を持つ酒井さんならでは。しかし、エンターテインメント業界に対しては、熱い思いがあるらしい。

「そうですね。たとえば40代以上になると、高齢の親が認知症になったりとか介護の問題が出てくる。子どもが大きくなってやっと落ち着けると思ったら、今度は自分に乳がんが見つかったりとか。そういう体調不良も起きやすい年代ですよね。

 だんだんと気持ちが暗くなっていく時に、エンターテインメントがそばにあれば頑張ろうって前向きになれる。僕たちも健康センターで女性ファンと触れ合うようになるまでは、そこまで女性の人生って過酷で激しいんだってわからなかった。たとえば、その場が一期一会でも、一生懸命にやらないと観客の中で一番きつい人に気持ちが届かないって気づいたんです」

 酒井さんの言葉には、信念をもって活動しているのが伝わってきた。

■酒井一圭(さかい・かずよし)
1975年6月20日 生まれ。歌謡グループ「純烈」のプロデューサー、リーダー、元子役、元プロレスラー。主な出演作『逆転あばれはっちゃく』5代目桜間長太郎 役、『百獣戦隊ガオレンジャー』ガオブラック・牛込草太郎 役(ともにテレビ朝日系)、FODドラマ「純烈ものがたり」主演・酒井一圭 役 ほか

「純烈」オフィシャルウエブサイト;https://junretsu-official.com/top.php

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