方針をめぐってときには意見がぶつかったことも

――浜崎さんにとっての転機は、『セーラー服を脱がないで』のPV撮影でしたか。

浜崎「いいえ。ファーストアルバム『少女は二度死ぬ』のリリースですね。それまで、前任のボーカルが歌っている作品を物販で販売していた。私はそれがすごく嫌だった。しかも、ファーストアルバムをリリースしてからも、まだ前任が歌っているCDを売っていたんです。

 “私がボーカルなのに、どうして私が歌っているCDだけを置いてくれないの!”って思っていたら、天馬に“いや、まだ在庫があるから”って言われたんですよ」

松永「そうだったね」

浜崎容子 撮影/冨田望

浜崎「屈辱でしたね……。しかも天馬は“だってアーバンギャルドは僕の作品だから”って言って、前のボーカルのPVも全部残すって言ったんです。それが原因で何日もケンカしました。前のPVもあったら誰が現在のボーカルかわからなくなるし。でも周りのみんなも“昔のPVは消した方がいい”って言ってくれたんです」

松永「今考えると、そっちが正しかったですね」

浜崎「私はひどい仕打ちをされてきたんですよ(笑)。自分のボーカルだけのフルアルバムが出せるってなった時、すごく嬉しかったです。“これで前のCDはいらないよね。全部土に埋めろ!”って言った記憶があります」