アーバンギャルドは心の闇や古今東西のカルチャーのオマージュがちりばめられた歌詞、赤と白の水玉模様が多用される衣装など独特な世界観でリスナーを魅了している。ファンから熱烈な支持を集め、18年には10周年、23年には15周年記念公演を中野サンプラザにて開催し大成功を収めた。メンバーの脱退などを経験しながらも活動を続けてきたアーバンギャルドの転機ー「THE CHANGE」は、どのようなものだったのだろうか?【第4回/全5回】

アーバンギャルド(左からおおくぼけい・松永天馬・浜崎容子) 撮影/冨田望

 2007年に発表された『セーラー服を脱がないで』は、アーバンギャルドの代表曲でもある。PVの内容は、教師に恋をした生徒に扮した浜崎容子さんが想像妊娠をして巨大なキューピーを産み落とし、河原で血まみれになりながらそのキューピーと戦うもの。当時としてはまだ、インディーズバンドが自ら原案を企画し、オリジナルの映像作品を作るのは珍しかったそうだ。

浜崎容子(以下、浜崎)「『セーラー服を脱がないで』のPVで、天馬が“浜崎さん、経血を脚の間から流してください”って言うんですよ」

松永天馬(以下、松永)「おかしいですよね」

浜崎「“わかりました。やります”って答えたときの天馬の目はすごく喜んでいました。でも“これをやっちゃったらもう普通の女の子には戻れなくなってしまうな”って覚悟は持っていました。だからこのMVが広まった時は嬉しかったです」

――そのようなシーンを撮影するのに、ためらいはなかったですか。

浜崎「やることに対して、ためらいはなかったです。いいものができるのなら、なんでもやろうという気持ちの方が勝っていた。あと今までのボーカルからは全員断られていたって聞いていて」

松永「そうですね。全員に断られました」

浜崎「“じゃあ……やっちゃう?”って思いました(笑)。私が最初になれるのならいいって決意しました」

松永「そういう意味ではほかのバンドと差別化ができた。そこから集客も増えていったんです」