おおくぼけいさんが「アーバンギャルドに入りたい」と思った瞬間

 アーバンギャルドの音作りに欠かせないメンバーであるおおくぼけいさん。彼が加入したのは2015年だった。それまでサポートメンバーとして関わっていたアーバンギャルドに、どうして加入を決めたのだろうか。

おおくぼ「僕はサポートとして参加しながらも、ザ・キャプテンズというバンドをやっていた。その前にもいろいろなバンドをやっていたけれど、根底には“世の中で売れているもの”に対して、非常に反抗的な気持ちを抱いていた。それだけでなくて、大学で作曲の勉強をしていたので、そもそも理論的知識もあるとか演劇経験があるとかのバックボーンに対しても、反抗心というか、そういうのを出していくのはかっこ悪いって考えていた」

――それまでのおおくぼさんが組んでいたバンドと、アーバンギャルドはまた毛色が違いましたよね。

おおくぼ「はい。でも2013年9月にアーバンギャルドのキーボードが抜けて、1年ほどサポートメンバーとして活動していたんです。アーバンでやっている音楽って、それまで色んなところで演奏していた楽しいパフォーマンスとリンクしていた。

 もしかしたら、“アンチな部分ではなく自分のやりたいことをストレートに全うする場所があっても良いのではないか”って気づいたんです」

おおくぼけい 撮影/冨田望

浜崎「やっと気づいたんだね」

松永「あるとき、“天馬くん、手紙を書いたから”って言われたんです。そうしたら、数日後に引っ越した新居におおくぼけいから手紙が届いたんですよ」

おおくぼ「これはエピソードになるぞって思って、天馬くんの新居に届く最初の手紙になるように投函日を逆算したんです」

松永「封筒を開けてみたら、“僕はアーバンギャルドにぴったりだと思うんです。アーバンギャルドに入れてください”って書いてあった。アーバンギャルドってすごくキーボードが花形のバンド。彼はテクニックもあるし、創造力もすごく変わったものを持っている。僕らと近いバックグラウンドなのもよいなって思ったんですよね」

浜崎「バンドの練習帰りに、とんかつ屋さんに食べに行ったんです。天馬が“けい様がアーバンギャルドに入りたいって言っている”って話し始めて。私はそのときに食べたとんかつの味はサックサクですごく美味しかったな~って覚えています」

松永・おおくぼ「ははは」