本に描かれていない空白の20年を「高良君、石田君と3人で作っていきました」
――そうだったんですね。
「今回、監督の長編デビュー作ということでお話をいただいたとき、僕はワンシーンくらいの役かなと思っていました。それがこんないい役どころで呼んでいただいて。かなり気合いを入れて現場に行きました」
――大東さんの演じる晃は、物語の中心となる幼なじみ3人のうちのひとり。田舎から出て行って、刑事となり、父の死をきっかけに戻って来る。完全にメインです。最初に脚本を読まれたときは、どんな印象でしたか?
「ミステリーとして、とても面白いと思いました。同時に、まず何よりこの本をよりよい形にするためには、僕と高良君、石田君の関係がすごく重要になるなと、それを大事にしたいと思いました。この作品は20年という時間がキーワードになっています。彼らが20年をどう生きてきたのか。それをどう作品の中に落とし込めるかが作品の厚みになるなと」
――役柄もそうですが、同じ時代に同じ世界で生きてきた高良さん、石田さんと組めたことも、本作のベースとして力になりましたか?
「間違いなく。本に描かれていない空白の20年を、3人で意識して作っていきました」
――先ほど監督のことを、可愛がられる人だとお話されていましたが、大東さんも、共演者の方とのつながりを大切にされる方だと耳にしたことがあります。
「ありがたいですね。作品やいただいた本、それに対して誠実にあることが、現場で出会う人との一番のコミュニケーションだと思っています。余計な雑談よりも、自分がどういう思いを持っているかが仕事で伝われば、関係はできていく。だから、いつも特別に仲良くなろうとか、そういったことは思っていないんです。作品に向かっている姿勢で会話している感じです」