デジタルに疎くてSNSもやってない

――映画では、いま世代の出会いのアイテムとしてのマッチングアプリと対比して、主人公・輪花(土屋太鳳)の父(杉本哲太)世代が利用していたツーショットチャットが過去の描写に登場していました。そうしたアイテムはご存じでしたか?

「先ほどのスマホの話じゃないですけど、私は本当にデジタル関連には疎くて。今でもスマホにいろんなアプリを入れているかというと全然そうではないですし。InstagramもTwitter(X)も何もやってないですし。だからそういうもの(ツーショットチャット)があるんだというのも、初号を観て初めて知りました。脚本で一度読んでいたはずなのに、初号を観たときに“へ~”って。そう感じることがたくさんあった作品です」

――確かにいわゆるツーショットチャットは、今のマッチングアプリよりももっと閉鎖的だったでしょうし。

「マッチングアプリもそうだし、そのツーショットというのもそうだけれど、現実に会うわけじゃない、あくまでもオンライン上での出会い方ですよね。それこそそういったものへの先入観、思い込みみたいなものへのマイナス面が、かつてはより強い時代だったと思うので、なおさら自分自身近づかなかった気がします」

――今はオンラインでの付き合いも一般的になっています。斉藤さん個人としてはどう感じますか?

「私自身は絶対ないと思ってしまうタイプです。いまは人間の精神性とか、いろんなものが変化してきています。マッチングアプリといったものも全否定するものではないし、そこでちゃんと誠実に真面目に、自分をアピールして、出会って、誠実な絆や関係性を築いていっている人たちが山ほどいることも、今は知っています。
 でもあくまでも私自身としては、たとえば遠回りだったり、上手くいかないことがあったり、趣味が全然ちがったりとかしても、まずは直に出会うことのほうが好きだなと、正直思います」

「直に会うほうが好き」と話してくれた斉藤さん。写真撮影を終えると、その場にいたひとりひとりに丁寧にあいさつをして、取材部屋をあとにした。

さいとう・ゆき
1966年9月10日生まれ、神奈川県出身。1984年、「少年マガジン」第3回ミスマガジンでグランプリに選ばれる。翌年、「卒業」で歌手デビュー。同年テレビドラマ『スケバン刑事』で初代・麻宮サキを演じ一世を風靡した。1986年連続テレビ小説『はね駒』でヒロインを務める。以降、数多くの作品に出演し支持を集めている。近年の主な出演作に映画『記憶にございません!』『蜂蜜と遠雷』『最初の晩餐』『子供はわかってあげない』、ドラマ『大奥』『フィクサー』『Dr.チョコレート』『いちばんすきな花』、舞台『良い子はみんなご褒美がもらえる』『メトロノーム・デュエット』など。『三度目の殺人』ではブルーリボン賞助演女優賞を受賞した。

映画『マッチング』
脚本・監督・原作:内田英治
共同脚本:宍戸英紀
主題歌:Aimer
出演:土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキ、杉本哲太、斉藤由貴
(C) 2024『マッチング』製作委員会
配給:KADOKAWA 
公開:2月23日(金・祝)