「また違う自分でスタートできている感じがします」 

 アイドル、俳優として過ごしてきた約20年間。フラットに生きてきた、という前田さん自身が「CHANGE」と言える瞬間はあったのだろうか。

「出産です。子どもを産んだこと」

「CHANGEとは」という問いに、前田さんは、迷いなくこう答えた。

「大きく変わったと思います。産んでよかったです。とてもプラスになって、私自身の可能性も大きくなりました。子どもってすごいなと思います。子どもを産むと、もう1回自分自身がスタートできる気がするんです。仕事も、いままでやってきた仕事だけれど、また違う自分でスタートできている感じがします」

――見え方が新しくなったのでしょうか。

「見え方というか、生き方も変わった感じです。自分自身も生まれ変わったというか。独立したのも、子どもが産まれたからっていうのもありますし」

 出産は2019年。翌年、前田さんはこれまで所属してきた事務所から独立した。21年1月1日以降、フリーランスで活動を続けている。

「出産していなかったら、ふわふわした感じで、そのまま行っていたと思います。“こんな感じでいっか”と、どこかで思っていました。でも、出産したことで、“あれ、なんか私、今の生き方のままじゃもったいなくない? 刺激がないのはダメでしょ”と思えた。
 自分の、次の人生のステージを探せたという意味でも、出産は大きかったです。まだまだ人生長いのに、何してるんだろうと。目が覚めました」

自分も新たに生まれ変わったと語る前田さん。「今の生き方のままじゃもったいなくない?」と歩み出したこの先が、さらに楽しみだ。

まえだ・あつこ
1991年7月10日生まれ、千葉県出身。2005年、アイドルグループ「AKB48」の第1期生オーディションに合格し、AKB劇場のオープニングメンバーとして舞台に立つ。第1回、第3回のAKB48選抜総選挙で1位を獲得し、中心メンバーとして活動するが2012年に卒業。以降、テレビドラマや映画、舞台に多数出演し、俳優として活躍している。2019 年に映画『旅のおわり世界のはじまり』と『町田くんの世界』で第43回山路ふみ子映画賞女優賞を受賞。近年の主な出演作に、映画『コンビニエンス・ストーリー』『もっと超越した所へ。』『そして僕は途方に暮れる』、ドラマ『育休刑事』『かしましめし』『彼女たちの犯罪』。2024年は『厨房のありす』が放送中。三島有紀子監督のオリジナル脚本による映画『一月の声に歓びを刻め』で、カルーセル麻紀、哀川翔とともに主演を務める。

●作品情報
映画『一月の声に歓びを刻め』
脚本・監督・プロデューサー:三島有紀子
出演:前田敦子、カルーセル麻紀、哀川翔、坂東龍汰 ほか
(C) bouquet garni films
配給:テアトル新宿  公開中