落研ライブの常連客が相方に!

「挨拶に行ったら、そこに『エレキコミック』のやついいちろうさんがいたんです。当時、やついさんは4年生で、“聞いてるよ、九州で優勝したんでしょ”みたいな感じで、話しかけてくれて、直ぐにすごく仲良くなったんです。それで、やついさんが住んでいたボロアパートに僕も引っ越して、2年生の時から一緒に過ごすようになったんです」

 その後、現在の相方である土屋伸之さんと出会うことになった。

「僕が3年生の時なんですけど、土屋はずっと客として『落研ライブ』を観に来ていたんです。当時、彼は公認会計士を目指していたんですよ。でも、公認会計士の勉強が大変でついていくことが出来なくて……、そんな彼の気分転換というか、癒しを求めて観に来てくれていたらしいんです。で、僕が“いつも観に来てくれているよね”って話しかけたのがきっかけで仲良くなったんです。そうしたら、ある日突然、“入部させてください!”って言ってきて。正直、僕も驚きました」

 土屋さんは当時大学2年生だった。

「途中から入ってきたわりには、正直言って、まぁ下手でしたよね。でも色々器用にこなすので、すごく伸びしろがあるなっていう風に感じましたね」

 この土屋さんとの出会いが塙さんの人生を大きく変えることになった。まさに”運命の出会い”とも言えたのであった。

「土屋の母親が昔、マセキ芸能社という芸能事務所で津島明希という名前で演歌歌手をやっていたんですね」

 津島明希は1968年に『浪花節だよこの俺は』でデビューし、その後は津島波子名義で『女ひとりのブルース』などをリリースしたが、土屋さんが生まれる前に引退していた。

「そんなこともあって、大学卒業した時に彼のお母さんにマセキの社長に口を聞いてもらったんです。“うちの息子が芸人目指しているんです。でも、大学に入ってからのことなので、吉本さんの養成所とかに入る年齢じゃないし、マセキさんで面倒見てもらえませんか”って言ってくれて」

 それが塙さんの人生にとって、更に大きな転機を迎えることに繋がった。

■塙宣之(はなわ・のぶゆき)
1978年3月27日、千葉県生まれ。A型。T173㎝。2000年に大学の後輩・土屋伸之と漫才
コンビ「ナイツ」を結成。2003 年、漫才協団(現・漫才協会)・漫才新人大賞受賞。2008
年、お笑いホープ大賞THE FINAL優勝、NHK新人演芸大賞受賞。2008~10年、3年連
続で「M-1グランプリ」に3 年連続で決勝進出。2022 年度、第39 回浅草芸能大賞 大
賞受賞。2019 年に出した著書『言い訳 関東芸人はなぜM-1 で勝てないのか』が発行部
数10万部を突破した。近著『劇場舎人 ずっと売れたい漫才師』(KADOKAWA)が発売中。 

『漫才協会THE MOVIE~舞台の上の懲りない面々~』
監督:塙宣之
出演:青空球児・好児 おぼん・こぼん ロケット団 宮田陽・昇 たにし U字工事 ね
づっち 大空遊平 はまこ・テラこ 錦鯉 ビートきよし(特別出演) 爆笑問題(友情出
演)サンドウィッチマン(友情出演)
ナレーション:小泉今日子/ナイツ 土屋伸之
3月1日(金)より全国ロードショー
配給:KADOKAWA
ⓒ「漫才協会 THE MOVIE ~舞台の上の懲りない面々~」製作委員会