中学2年生でプロ作曲家としてデビュー

谷山さんは中学1年生の頃から、自作曲をレコード会社の人に聞いてもらっていた。それがプロへのスタートだった。

「中2の時に、ベイビー・ブラザーズ(のちのフィンガー5)のシングル曲のB面に曲が採用された。それがプロの作曲家としてのデビューですね。その1年後に、“今度は自分で歌ってみない?”って言っていただきました。性格的に人前に出るのが苦手だったので、すごく迷いました……。

 当時はシンガーソングライターという言葉が出始めたばかりで、キャロル・キング(※アメリカ出身のシンガーソングライター)が売れていた。ディレクターさんは、“中学生が自作の歌を歌うのは面白い”って思ったんじゃないかな。いきなりアルバムをレコーディングして、シングルも出してデビューしました。だから、自分からなりたくて歌手になったのとは違いましたね」

 言葉を選びながら当時を振り返る谷山さん。

「同じような音楽をやっていても、シンガーソングライターって呼ばれる人と、フォークっていうくくりになる人がいた時代です」

谷山浩子 写真/能美潤一郎