組んだ時から先輩後輩はなかった

――方向性は話し合うんですか?

出井 「むしろ話し合いすぎかもしれません(笑)」

楢原 「相方の意見を聞かないと気が済まないんです」

――楢原さんはネタを書くほうで、もともと先輩だけど、引っ張るわけではなく。

楢原 「組んだ時から先輩後輩はなかったんです。なめられていたので」

出井 「いやぁ、先輩後輩の壁を取り払うのが大変で」

楢原 「いやいや、組んだ次の日からタメ口を聞かれていたから」

出井 「かなり勇気を出してタメ口にしたんです」

楢原 「ポロッと敬語が出ることすらなくて、本当になめているんだろうと思います」

――後輩時代、楢原さんをどう見ていましたか?

出井 「変な人でしたよ。社交性があるように見せるために、努力して人と接しているんだろうなと思ってました」

楢原 「普通に社交性はありましたけどね(笑)」

出井 「いやいや、僕には非常階段で体育座りしている姿が見えていましたよ」

楢原 「清水富美加の告白本の表紙ね」

――M -1で勝つためにライブをたくさん入れて、同日に違う会場でライブがある時は自転車で移動しているとか。

楢原 「劇場がある吉本さんは“もっとしゃべりなさい”と言ってくれるけど、僕らは自分から動かないとしゃべらせてくれないので、自転車に乗ってます」

出井 「とはいえ、僕らが上京した頃と比べたら、東京の非吉本でもライブできる場所は増えていると思います。それだけお笑いが盛り上がっているんだろうなって」

楢原 「M -1のエントリー数もいまは8400組以上で、僕らが最初に出た2015年より5000人も増えているなんて異常ですよ。そんなわけないと思ってます(笑)」

(つづく)

取材・文/大貫真之介

左:楢原真樹(ならはら まさき)。1986年11月17日生まれ、大阪府出身。
右:出井隼之介(でい じゅんのすけ)。1987年3月2日生まれ、神奈川県出身。
NSC大阪校28期生の楢原と29期生の出井が2011年9月に「ヒートアップ」を結成し、後に「パープーズ」に改名。2014年に「ヤーレンズ」へと2度目の改名。M-1グランプリ2023で準優勝。